新しい Outlook で使用できない機能: 拡張性


新しい Outlook で使用できない機能の第 5 回は「拡張性」についてです。

Windows 用の新機能と従来の Outlook 機能の比較 – Microsoft サポートの拡張性についての比較は以下の通りとなっています。

機能

クラシック Outlook

新しい Outlook

COM アドイン

使用可能

非サポート

サード パーティ プロバイダー向けのオンライン会議

使用可能

使用可能

Web アドイン

使用可能

使用可能

スパム レポート、フィッシング、スマート アラートの機能強化 (1.14 API セット)

今後

今後

プライマリ Entra (職場または学校) アカウントでの Web アドインのサポート

使用可能

使用可能

プライマリ Microsoft アカウント (個人用アカウント) での Web アドインのサポート

使用可能

今後

セカンダリ アカウントでの Web アドインのサポート

使用可能

調査中

サード パーティのアカウント (Gmail、Yahoo、iCloud など) での Web アドインのサポート

非サポート

非サポート

COM アドインが使用できなくなるというのは当初からアナウンスされていましたが、単に COM アドインが使用できなくなるというより、Outlook オブジェクト モデルが使用できなくなるというのが実情です。

そのため、以下のようなこともできなくなります。

  • Outlook でのマクロの使用
  • 他の Office 製品のマクロやスクリプト、RPA などによる Outlook の利用
  • Outlook オブジェクト モデルを使用した Office 製品の機能 (差し込み印刷による HTML メールの送信など)

つまり、現状行われている Outlook の自動化処理がほぼ使用できなくなります。
したがって、定期的なメールの送信や受信時の処理などを自動化している場合は、Power Automate のクラウド フローで実装する必要があるでしょう。

拡張性に関して使用できなくなる機能は他にも以下のようなものがあります。

Extended MAPI

MAPI とは Messaging Application Programming Interface の略で、高度な拡張機能をもつ Extended MAPI と単純なメールの送受信のみが可能な Simple MAPI の 2 種類がありますが、新しい Outlook は Extended MAPI をサポートしていません。
そのため、Extended MAPI を使用してメールを送受信するようなアプリケーションがある場合、新しい Outlook だけの環境では動作しなくなります。

Simple MAPI

Simple MAPI は Office アプリケーションからのメール送信やエクスプローラーでファイルを右クリックして [送る]-[メール受信者] でファイルをメールで送信する場合に使用されるものですが、こちらについては現時点では従来の Outlook がインストールされている場合に限りサポートされているようです。
例えば、従来の Outlook と新しい Outlook が共存している状態で、[新しい Outlook を試す] がオンの場合、[送る]-[メール受信者] でファイルを送ろうとすると、いったん従来の Outlook が起動され、その後新しい Outlook でファイルを送信するためのメール ウィンドウが開くという動作になります。
今後、従来の Outlook がない状態で動作するようになる可能性もありますが、現時点ではロードマップなどに Simple MAPI に関する情報ありません。

カスタム フォームとフォーム領域

Outlook にはメールや予定アイテムなどのフォームにテキストボックスや任意の ActiveX コントロール オブジェクトを配置してオリジナルのフォームを作成するカスタム フォームやフォーム領域という機能があります。
このような機能は新しい Outlook では使用できません。
以前は Outlook と Exchange サーバーのパブリック フォルダーでワークフローを作成するときに使用されていた技術ですが、これも Power Automate などに置き換えられるものと思われます。

グループ ポリシーやレジストリによる制御

Outlook では AD のグループ ポリシーやクラウド ポリシーなどで、特定の設定をユーザーに配布し、変更できないようにするというようなことが出来ました。
しかし、新しい Outlook では従来の Outlook のポリシーは一切参照されません。
そのため、従来の Outlook でできないようにしていた操作が、新しい Outlook に切り替えることでできてしまうということがあります。
また、従来の Outlook では設定画面になくてもレジストリで動作を変えることができるものがありましたが、新しい Outlook ではそのような制御もできなくなると考えられます。

ただ、新しい Outlook で管理者による制御が全くできなくなるというわけではなく、Exchange Online の OwaMailboxPolicy を使用して制御を行うことになるでしょう。
Office のクラウド ポリシーにも新しい Outlook の項目が追加されていますので、今後こちらでも制御ができるようになるかもしれません。

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