IMCEA で始まるメールアドレスへの配信不能通知について


Outlook でメールの送信を行った際に、ごくまれに IMCEA で始まるメールアドレスへの配信不能通知が生成される場合があります。
大抵はそのようなアドレスへ送ったつもりがないのに生成されるものであるため、誤送信やウイルス感染などが発生したのではないかと不安になる方もいるかもしれません。
今回はこのようなアドレスへの配信不能通知が生成される原因について解説します。

IMCEA とは何か?

まず、IMCEA という言葉についてですが、これは Internet Mail Connector Encapsulated Addres の略です。
Internet Mail Connector とは、Microsoft Exchange Server の最初のバージョンである 4.0 にあった、Exchange サーバーと SMTP サーバーの接続を行うオプション コンポーネントの名前です。
今ではメールといえば SMTP で送信されるのが当然のようになっていますが、10 年以上前にはメールの送信プロトコルにはメーカー独自のものを含めいくつかあり、Exchange サーバーはバージョン 5.5 まで国際電気通信連 (ITU-T) によって定められた X.400 をベースとして動作していました。
そのため、SMTP はオプション扱いであり、Exchange 組織からインターネットへメールを送受信する場合は Internet Mail Connector でアドレスやメール形式の変換を行っていました。

そして、IMCEA で始まるアドレスは、もともと Internet Mail Connector でメールを送信する際に、SMTP で使用できないアドレスをカプセル化して送信できるようにするためのものでした。
現在では、Internet Mail Connector というコンポーネントは廃止されましたが、SMTP 以外のアドレス形式が SMTP で送信された場合に IMCEA で始まるアドレスが Exchange Server と Outlook で使用されます。
つまり、何らかの理由で SMTP 以外のアドレス形式によるメール送信が行われた際にこのアドレスでの送信がされ、該当するアドレスが存在しないために配信不能通知が生成されるという現象が発生するのです。

具体的には以下のような場合が考えられます。

IMCEAEX で始まるアドレス

このアドレスは LegacyExchangeDN を SMTP 形式にしたものです。
通常、Exchange 組織内で LegacyExchangeDN が使用されますが、Active Directory にそのアドレスを持つユーザーや連絡先などが存在すれば、そのオブジェクトの SMTP アドレスが使用されます。
しかし、以下のような状況で LegacyExchangeDN を持つオブジェクトが存在しない場合、IMCEAEX で始まるメールアドレスにメールが送信されます。
・AD から削除されたユーザーなどに Outlook の連絡先やニックネーム キャッシュ、全員に返信などでメールを送信した
・別の Exchange 組織から PST などでコピーしてきたメールに対して返信や再送を実行した

IMCEAMAILTO で始まるアドレス

このアドレスはアドレス種別として MAILTO が指定されている受信者にメールを送信した場合に使用されます。
本来、MAILTO というような種別は Outlook や Exchange では使用されません。
しかし、Word 2007 の不具合で mailto: リンクをクリックしてメールを送信すると、アドレス種別が MAILTO になってしまうという現象が発生していました。
この不具合は以下の修正プログラムによって修正されています。

2475888 Office Word 2007 修正プログラム パッケージ (wordconv-x-none.msp、単語の x-none.msp): 2011 年 2 月 22 日
https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/2475888

IMCEAINVALID で始まるアドレス

このアドレスはアドレス種別が指定されていない受信者にメールを送信した場合に使用されます。
正常に名前解決が行われている場合、アドレス種別が指定されていないということは発生しないのですが、以下のような手順でメールを送信すると正常に名前解決がされずにこの問題が発生する場合があります。

1. Exchange Server 2013 以降にキャッシュ モード オフ (オンライン モード) で接続する
2. Outlook でメールを作成する際に、メールアドレスの名前解決を実行せずに下書きに保存する
3. 下書きに保存した後でいったんメールを閉じ、下書きのメールを再び開いて送信する

通常のメール作成時には宛先の入力後に他のフィールドを選択すると、自動で名前解決が行われるので問題が起こらないのですが、以下のような状況で現象が発生しやすくなります。
・ 宛先に他のプログラムなどから大量にアドレスを追加する
・ mailto: リンクをクリックしてメールを送信する
・ Word や Excel など、他のプログラムからメールを送信する

いずれの場合も、下書きに保存する前に宛先の名前解決を明示的に実行することで現象発生を予防できます。
なお、アドレスの名前解決ができているかどうかは、アドレスに下線が引かれた状態かどうかで判断ができます。

その他

上記以外のパターンの場合、Outlook で動作するサードパーティ製のメール システムのアドレスへのメールを SMTP のアカウントで送信したものと考えられます。
たとえば、IMCEANOTES で始まる場合は Lotus Notes のアドレス、IMCEAFAX なら FAX 送信システムのアドレスという具合です。
この場合は正しいアカウントで送信しなおす必要があります。

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